私はもう10年以上も前からずっと、事あるごとに演劇仲間を捕まえては、今回のお芝居の構想を熱く語ってきました。しかし誰に話してもその反応はいまいちでした。バックステージものは珍しくはない。それに裏方さんを主役にし、一般の人が見たこともない「“仕込み”と“バラシ”を描く」というのは、しかもそれをミュージカルで!果たしてそんなもの面白いのか。誰にも理解してもらえなかったのです。でも私には自信がありました。
芝居が始まる前と終わってから、決して普段は見られない陰の苦労。でもその陰のスタッフの力がなければ私たちは何もできません。それは演劇の世界だけではなく、すべてのあらゆる仕事において言えること。なのに我々はその苦労に感謝の気持ちを忘れがちです。光あるところには必ず陰の力がある。見えるものは必ず見えないものに支えられている。その気持ちを込めてこのミュージカルを作りました。
長年の夢がやっと実現するのはこの上ない幸せです。それこそキャストスタッフ一丸となって、新しい日本のミュージカルを作り上げたいと思います。
原案・作詞・演出 ラサール石井